ひとは何故駅伝に惹かれるのか

2020/01/06 ブログ
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2020年、オリンピックイヤーが明けた。例年のとおり、今年も駅伝で始まった。

1日は実業団のニューイヤー駅伝、2日、3日は大学の箱根駅伝。

1日は、旭化成の4連覇、箱根は青山学院が2年ぶりの優勝で幕を閉じた。どちらも、実力通りの結果といえるだろう。成績を見てみると、ニューイヤー駅伝は上位2チームが、箱根駅伝では3チームが大会新記録を更新していることと、両大会ともいわゆる強豪チーム以外のチームが上位に食い込んでいることが特徴的だ。これは、もちろんオリンピックイヤーということもあるだろうが、ランニング人気、駅伝人気の高まりが競技人口のすそ野を広げ、山頂を目指す選手の数・質を高めた結果だろう。

私も含め、走る人が多い。駅伝も好きである。箱根駅伝の視聴率は30%を超えているとか。駅伝に心惹かれるのだ。

なぜ、駅伝に惹かれるのか。箱根駅伝は、20㎞を超える距離を走り、襷をつなぐ。20㎞をゆっくり走るだけでも結構大変なものだ。ほぼ全速力で走る彼らの気持ち・身体におこることとの葛藤は相当なものだろう。選手たちが前に進むエネルギーは、屈辱の経験であり、つらい練習の記憶であり、それらを糧に育んだ自尊心である。

青山学院優勝の原動力は、キャプテン鈴木塁人をはじめとすると「ダメダメ世代」といわれた4年生の奮起だった。10区区間賞で創価大学にシード権もたらした島津雄大選手は、視力が弱く暗くなる冬の練習の辛さを乗り越えての快挙。花の2区で驚異的な区間新記録1:5:57をたたき出した東洋大学相沢晃選手。大学最強といわれる彼が「できることなら、出場したくない。」と、大きなプレッシャーで押しつぶされそうな自分と戦っていた。一方では、こんな選手も。先行するトヨタ自動車を抜き去り旭化成の4連覇を確実なものとした、6区区間賞の小野知大選手は、高校卒業2年目の20歳。箱根駅伝には興味はない、早く強くなりたいと、旭化成入りした。去年は、大分の合宿でテレビ観戦、Bチームメンバーから掴んだチャンスをものにしたのだ。

まさしく、駅伝にはドラマがあり、駅伝は人生だ。だから、ひとは駅伝に心惹かれる。

心理学者岸田秀は、人間を本能の壊れたサルと呼んだ。私私たちは、大脳皮質が大きく発達したおかげで、周りで起こる出来事に意味をあたえ解釈した虚構を経験することになったのだ。つまり、ひとは事実をそのまま経験として受け入れるのではなく、物語を経験する。

ライバル社との競争に打ち勝つのには、顧客の心をつかみ、従業員のやる気を起こす、会社の物語が必要なのだ。