不要不急の力
昨日、春の甲子園出場予定校が参加して行われる交流試合の抽選会のニュースが流れました。春の甲子園大会は、新型コロナウィルスの影響で中止が決定されていました。交流試合は、各チーム1試合だけの限定開催ではありますが、選ばれた強豪チーム同士が激突する交流試合は、選手だけではなく、新型コロナの雲が垂れ込める私たちの心にも元気をくれることになるでしょう。
昨日の夜、日付が今日になったころ、「奇跡のパプリカ 誕生秘話」という番組も流れました。多分、再放送のこの番組は、新日本フィルハーモニーの団員によるリモート演奏動画が出来上がるまでの団員の思いを綴ったもので、生き生きとしたプロの演奏はやはり素晴らしかった。
スポーツと音楽。一見、携わる人も、行われることも全く異なる両者ですが、共通点は「不要不急」。ということで、新型コロナウィルス下の「緊急事態」では、どちらも、活動ができない状態が続いてのです。
しかし、このところ続いていた自粛要請も少しずつ解除されて、プロ野球やJリーグも始まり、コンサートも一部始まりだしたことは、皆さんご存じのとおりです。
私たちは贔屓のチームの頑張りに歓喜し、素晴らしい音楽に心を洗われます。
新型コロナウィルスの騒動が始まってから約半年、スポーツと音楽は、世の中全体を覆っていた重苦しい空気を吹払ってくれる初夏の風のように私たちを包んでくれています。
スポーツも音楽も、上達するためには努力が必要であり、勝敗、優劣の決定には忖度とはかけ離れた世界です。彼らの素晴らしいパフォーマンスは、多くの挫折や涙、時には妬み、嫉みが隠されており、積み重ねた努力、鍛錬によって作られたのを私たちは知っています。
私たちの日常も。特に、この騒動下では、このような負の感情に覆われることが多く、何とかやり過ごす毎日はストレスとの戦いといっていいでしょう。だからこそ、私たちは音楽やスポーツに感動し、共感するのです。
人はストレスを感じると、それに打ち勝とうとしてチャレンジし、利他的行動をとるといわれています。そして、ストレスについて学習し、回復し成長しようとするのです。この様な反応は、ストレスを多く経験し乗り越えてきた、アーティスト、アスリート、ミュージシャンに多くみられるといわれているのです。
こんな風に、世の中に一見無駄であると思われているものが存在することには、意味があることが多いのです。
野球も音楽も「不要不急」などではなく必要であるだけではなく、新型コロナウィルスを乗り越える力を私たちに与えてくれるものなのです。